【キスキル・リラ】くちづけで夢が終わればそこは現実

plus pure(https://pluspure.wixsite.com/index)様制作の全年齢フリー乙女ゲーム『キスキル・リラ -くちづけは夢の終わりで-』をコンプリートしました!
人間の心を食べて生きる夢魔の女主人公が人間界で全治一か月の怪我を負い、魔界に帰るまでの期間男子寮に住まわせてもらうことになって…!?と、ここまで聞くと夢魔と男子寮、さぞかしえっちなことになるのでは?と大変失礼な勘違いをしていました。そこにあったのは何気ない日々を大切に生きる人々、些細なやり取りにも心を通わせる温かな関係、様々な感情の中募らせていく想い……。そう!!各ルート前半の日常パートが非常に誠実で最高なんです!!主人公のメリッサ・オーウェンが夢魔ながら共感性が高く、人間にどんどん心惹かれてく様が最高なんですよね……全体的に丁寧な文章でボリュームがすごいのは勿論、前半の日常会話がとにかく大好きです。
攻略対象はメインの5人+隠し1人+管理人夫妻。個人的な判断基準”しんどさ”でいうと、アベル>>>>>>>>管理人夫妻>>>>>ダレル>>>クラウディオ>>ユキヒコ>隠し>ケネス、ですね。とにかくアベル・フォレスタがヤバい。この感想を書いている理由の九割がアベルです。二番目に攻略したんですがまさかこんなにしんどいと思わず、最後にやればよかったと後悔しました。このしんどさが軽い順からやるのをオススメします。アベルを最初にやるとそのあと心に穴が開いた事態になりかねないので注意。

攻略キャラ所感!!大体しんどさ軽い順で書きます!!

ケネス・ライリー
男子寮最年少で人形師の青年。メリッサが入寮するのを反対していてその後も彼女に対する態度が最悪。単にツンデレ男子なのかな~と思うじゃないですか。確かにそうなんですが、この冷たい態度も後に判明する事実で納得できるものになるのが面白いですね。実は圧倒的に強いので安心感がすごい。彼のルートは主人公の友人や雇い主のお嬢様も可愛くて、ケネス自身の影が薄いのが惜しまれる。ケネス好きな方はヤキモチするのでは!?王道ファンタジーが味わえるルート。

ユキヒコ・ツダ
どう見ても日本人。園芸家なためいつも寮の庭の薔薇園にいる物静かな青年。日本文化を新鮮に思うメリッサの反応が良いですね。こんな穏やかな日常を送っているんだもの、きっと穏やかな展開に……なるどころかこのゲームで一番穏やかではないのでは?な立場。隠しキャラとの関係も深く、三角関係な見せ場を作ってくれます。実力はあるけど立場は超絶不安定なのでクリア後もちょっと心配。こちらもケネス同様魔界の世界観がわかるルート。

隠しキャラ
名前伏せとこ~!主人公の友人も隠され気味なのですが、彼女と関係がありますとだけ一言。第一印象チャラい。第二印象チャラい。でもメリッサへの好意は本物で、実は最初から片思いが前提だったという唯一の攻略対象。片思い描写もっと見たかったな~!

クラウディオ・ルービック
どう見てもイタリア人。素晴らしい腕前を持つ料理人で本国では店も経営するすごい二十歳の青年。長身で長髪、口八丁手八丁で人を褒めるのも上手く女性に大人気。本国では男性からもちゃんと信頼されていたのが良い。作中ではかなり不憫な目にあっていますが、持ち前の楽観主義と機転が利く性格からどんな苦境も何のその。ハピエン主義を語るに相応しい人物。彼がいることで男子寮の華になってる感じある。

ダレル・コア
怪我したメリッサを助けてくれた心優しい青年。ちょっとそそっかしくおっちょこちょいな面もありつつ、人懐っこく一生懸命。どう見ても可愛い彼が実は画家になる夢に対して人一倍苦悩しているのが!良いですよね!内面の葛藤がよく表れているのが超良い……遠くをみるような目をした立ち絵が空虚で好き。メリッサへの想いからキスをねだる様子も犬っぽくて可愛いし期待した通りの結末があります。アベルと同様人間界寄りのルート。

管理人夫妻
夫ロイド・ワーナーと妻シャロン・ワーナーの二人。怪我したメリッサを男子寮に滞在させてくれる心優しい夫妻だが実は過去を忘れられず、禍根を残していた二人。二人と親しくなるとその歪みがどんどん表れていきます。両親に向けるような感情を二人に抱いていたメリッサからすると夫妻どちらのENDでも切ない。メリッサの生い立ちも強く意識されて、ますますアベルルートのしんどさが強くなるな……管理人夫妻はすっかり解決できるので良かったけどね!!


アベル・フォレスタ ※ネタバレ強め
お待たせ。待望していた鬱です。罪と罰です。贖罪です。いやほんとどうしたのこの人!?!?このルート!?!?待ってもっと深刻な雰囲気出して!!キャップかけて!!!と思わず懇願しました。シナリオは三人の方が書かれていらっしゃるようですが、アベルだけ別の方なのでは?と勝手に思ってます。何といっても、唯一のハピエンすらメリバ。性癖しか感じない。流石に扱いづらいからか後日談ではしっかりハッピーな展開に導かれてますが、少々不安。でもどちらかというとこのアベルルートの方が作品全体の中で異色なのでつまりこれ自体がヤバい。それでいて確かな重量と描写で傷を抉ってくる。この痛みと苦しみが最高………………まず何が根本的に違うかって、他キャラの苦悩はメリッサ本人が齎したものではありませんが、アベルはその不幸な彼の生い立ちから生き方までガッツリとメリッサの所業が大きくかかわっています。メリッサは彼の人生を不幸なものにした張本人です。しかもそのことをメリッサが思い出した時は既にアベルに心底惹かれていたので、メリッサはこれ以上ないほど苦しみます。それこそ夢魔の食事が出来ない拒食症になるほどに。これを見てメリッサがいかに繊細な性格をしていたかがわかってグッと来ました。あと幼い時にもう出会っていたという運命感良いですよね……二人とも覚えていないのに既視感はあって気にかけてしまうのがきっかけとして自然ですし、心惹かれていく過程も二人の寂しい生い立ちからすると理解できるし……そう、前半で和むひと時を過ごす二人も最高。学校の子供たちと触れ合って恋人だとからかわれ軽くいなしつつ、二人で話すと不意に孤独の寂しさに包まれるあの絶妙な雰囲気がよく合う。シャボン玉が割れてしまう辺りも描写がエモい。これ令和にこそ受けるエモさじゃん……また読み返して浸かりたいエモさ……
苦しむメリッサはとてもアベルの傍にいられず逃げ出そうとします。無理に飛び立とうとするメリッサを窓から手を伸ばして捕らえるアベルのCGはこのゲームで一番好きな絵です。この時選択肢でメリッサが振り向かなければアベルは捕らえられないのもアベルらしくてしんどい。アベルは自分の大切な人は不幸になると信じているため、大切なものほど手放そうとするんですよ。やばくないですか????だから決して執着が薄いとか悲しみが無いわけでなく、手放すという悲しみの執着が強い。この事実が重い。これを知ると、一見一件落着に見える『狂わなかった未来』ENDもアベルは幸せではないんだろうな……と窺えてしんどい。どう転がってもアベルはしんどい。まさかあの気が良い世話焼きな青年がこんなに臆病でネガティブで根深いなんて……予想してなかった。しかもメリッサが食べたアベルの心が、まさかのそれ!?というエモさがより一層深まる結果で天才じゃん……と打ちのめされました。アベルが真相を知る展開だと既にアベルの心が食べられた後だったから遠慮無いのも良いし糖度もしっかり出て天才なんだよな……箍が外れても求めたのがメリッサってやばくない??憎悪に圧倒的に勝ったその欲望やばでは??贖罪でもいいって欲望任せに言うのすご~~~い!!!アベル、本人の決意で恋愛事には非常に奥手だから積極的になると一番ギャップがある。依存ありがとう……
真相ENDが『芥子の実』っていうタイトルでお察しな内容ですね。多分麻薬そのものを言いつつ、仏教の説話では種が”死”を説くと聞いて冷や冷やしますね。後日談はハッピーなので安心するけど場合によっては死ぬ世界線、模索していきたい。

アベルのしんどさで傷ついた人もアフターの幸せさを見れば救われると思うじゃん?私は救われませんでしたね!!すごい深い傷を負った。救いようがないくらい、幸せ。

アベルのこういうとこ好き。
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