
プリンセスに相応しい気高く美しい女性を花に喩えて、フラワー・メイヤーというプリンセス候補教育係の職が存在するノディオ王国。階級により身分の差があるこの国では王族や貴族の権威こそが絶対であり、貧民は獣同然の扱いを受け浅ましいボロ衣だと貶されるのが当然の社会だ。主人公ルカーヒは元は王宮一のフラワー・メイヤーで上流階級出身だったが、ある出来事によって失脚し貧民に落ちぶれてしまった。そんな憤懣やるかたない状況の中、貧民階級出身の物憂げな娘モリスをプリンセス候補として教育することになる。惨めな振る舞いを断じて認めない厳しい教育、差別と偏見による見るに堪えない階級意識、兄の出世の道具となる妹、我が物にしようと迫ってくる軍人、それでも厳しく辛いばかりではなく逞しく情に生きる平民・貧民階級の人々……人情溢れるドラマを経てルカーヒとモリスはどんな未来へと辿り着くのか?涙無しには終われない感動の結末に、貴方は愛を知る……
ということで、ガキノハウス様制作の育成SLG『おしばな物語』をコンプリートしました!あの!!ほんと!!!最高でした!!!!シナリオがすっごい!!プリンセスを目指して少女を育成するという点ではプリメを彷彿とさせますが、シナリオでプリンセスの意義や少女の幸せについて考えさせられた上で未来を選択するのが、とても力強い。タイトルを冠したストーリーエンドがこのゲームが提示した答えだと解釈している。でもそれが正解、正史とは限らない辺りまで趣深い。絶対一周読み終えた後の印象がガラッと変わるので、もう一周シナリオを通しで読むと更に深く味わえます。
育成パートがしっかり作り込まれていて育成初心者は大変ですが、難易度ベリーイージーがあるので安心!ありがたや~!最初にルカーヒがちらっと言うのですが、貞操と好意はある程度死守して終わらないとバッドエンド行きとなります。それを聞いていなかった私が初回で全く好意が足りずバッドエンドになりました。あと秘密の遊びをするなら覚悟をしましょう。後戻りが出来ません。マジで。結婚を目指すなら他の男の好感度にも注意。貞操パラだけじゃなくそこも関係してくるの何だろう、リアルな感じでヤバ。路地裏や接待といったモブ相手なら貞操パラだけ気にすればOKで~す!それも怖くない?あまり平日で休憩は取らずに赤い薬で回復しつつ大会に合わせて数値を上げていけば大丈夫なはず…!ルカーヒの教育スキルも早いうちに頑張って上げよう!好意の低下には気をつけて!寂寞状態モリスかわいそかわいいけど何とか好意上げよう!
コレクション要素として沢山着せ替えが出来るのもとても!可愛い!モリス大好きなので余計最高過ぎて嘗め回すように見てしまう。懺悔。普段着からお洒落服、際どい服まで勢ぞろい。私のお気に入りはイベント服→部屋着/質素な服/ハイネックドレス/シックな散歩服、エンド服→祈りの服/青バッスル/ロングメイド、プレゼント服→ドットリボン/レッドコート/赤ずきん/ネイチャーワンピ/お揃い服、です!ここで挙げた以外もぜ~んぶ素敵でモリスファッションショー開いてほしすぎ。頼む。何もかも似合ってて更に色々なお洋服来てくれ~!ってなっちゃう。アイドルモリス爆誕。
キャラクターへの感想。沢山の人が出てくるため一部。
モリス→大大大好き。とても性癖に刺さる。私が愛する女冬浦めぐみ(『月影の鎖』という乙女ゲームの主人公)を思わせる性格と聞いて、モリスちゃん目当てにこのゲームを始めた。非常に美しくも物憂げな面持ちで、一人黙々と編み物をしている事が多い陰気さが心に来る。物静かで主張も控え目な為中々本心が見えないものの、決して自我が無いわけでなく熱い想いを胸に秘めている。自己肯定感が低いため肉体関係で”必要とされている”と判断してしまうのもわかり過ぎてしんどい。彼女がどう成長するか、どんな未来を手に入れるか。全ての可能性があり得る。で、バッドエンドが「籠にはなにも」と「神を殺して」なのが一層ヤバい。大好きだ……
ルカーヒ→まだ20代後半のお姉さんだよ!なのにあんなに気高く堂々としているの、よく考えたら凄いな……と思いました。スタルウェブやメイサやアルバートにも物怖じしない。ストーリーの最後がすごく気になる。ルカーヒさんの未来も…読みたいよ…!!
スタルウェブ→モリスの兄貴。軍の魔法兵隊長で、モリスと共に貧民から平民になったぐらいそこそこ偉い。しかし、生い立ちや粗暴な言動から陰では軽視され嘲笑われている。モリスをルカーヒに預けたのも彼。乱暴でいい加減な振る舞いが目立つが確かに彼なりの優しさが窺える。愛だ~~!!
メイサ→何かとルカーヒとモリスを気にかけてくれる礼儀正しい軍人。シナリオでは彼女らに寄り添って行動し、中々染み入る実情を話してくれたりルカーヒの踏み台(文字通り)になってくれたりする。「メイサとの一夜」はお嬢さん方の間で有名。あれは一体…………??愛とは??
サマーヒ→ルカーヒと縁が深いフラワー・メイヤー。というかもう名前からして家族。家と役目を継いだ人。ルカーヒに対して冷たい態度を取り続けるためこちらとしてもしんどいですが、ルカーヒがそうであるようにそれが上流階級でいるための振る舞い、なんだね……世界観からして気になる。
メイル→サマーヒの教え子で軍参謀の娘。参謀どんな人だろね!?キュートな容貌と愛嬌で、キツくて時に厳しい言動すら可愛く見えちゃう魅力あり。ぱっと見利発な印象もありつつ、温室で育てられた花の様に汚れなき性質が何処か幼気を感じる。
ウーゴ→コーラル家で働く少年。使用人として日夜忙しく働いているが、コーラル家の優しい奥様にほどほどに甘やかされてくれてこちらも安堵。あの事故は予想出来て冷や冷やしたけど。実はモリスとのエンドがあるのが胸熱でしたね。ウーゴ家の老婆とお姉さんが良い人で、このゲームの癒し。
アーリーン→ルカーヒが飼ってる猫。ルカーヒとモリスに懐いている。大人の男は嫌い。ルカーヒの良さがアーリーンのお陰でより倍増する。アーリーンにおやつあげるだけのゲームやりたいです。
アルバート→傲慢な前衛兵隊長。モリスに一目惚れして俺の妻になれ!と迫ってくる。後半の唐突な登場により、モリスが来てくれなきゃ関われない。ノベル版では省略される。いっそ不憫。しかし好感度が高い時の態度は一見の価値あり。面白い。愛してるよ。

スタルウェブ/メイサ/アルバートは『少年旗戦エンボイズ』の登場人物でもあり、そちらをやるとまた違ったイメージがあったりして面白いです。ノディオ王国が存在する世界観が他作品でも描かれていて、時代や彼らの行方を想像したくなりますね。この愛に服従しよう……