【Money Parasite ~嘘つきな女~】男達を騙して稼ぐ悪女(苦労性庶民)の豪華客船生活(旨い酒と飯)

おもしれ~~~やつ

Switch DLサイト→https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000057175.html

マジシャンになる夢を諦めてバイト生活に明け暮れる大学生になった主人公、畑中十萌。彼女が突如豪華客船に招待されてマジックを披露出来るかと思えば、報酬は十分用意してるからハイスペ富裕男性達を誑かして全財産奪い尽くしてみない?と提案されるところから物語は始まります。逃げ場が無い豪華客船、イカサマカジノゲーム、大人の駆け引き……次から次にヤバいことが起きるのでは!?と月影&スイクラ(同じTAKUYO産)経験者は身構えましたが、まるで嘘みたいに明るく綺麗で華やかな世界です。嘘じゃないです。根底や一部に不穏な裏事情はありますがそれすら穏便に済ませる度胸がある面子。是非シャンパン片手に優雅に彼らとの会話を楽しんでいただきたい物語。そしてそれこそが黒幕の単純にして明快な思惑、という感じで構造は楽しくも全然事情が重くないのが新鮮でした。

※ここからそこそこネタバレ!
個別ルートへの入り方やエンド分岐も全く難しくなく、ミニゲームもスキップ機能が貰えたりします。田中さんルートでメタ的にミニゲームスキップ機能が貰えたのが謎に面白かったです。つまり十萌が頑張らなくても田中さんが全部やっといてくれる…って事なのかな、と想像したり。今作は主人公含め攻略対象も全員成人なので従来(月影&スイクラ&カエル畑)と比べても言動が合理的だったり拗らせず後腐れない感じで、割り切った大人の交流が意識されてるな~と思います。性格も全員基本的に紳士。あの毒舌な田中さんも冷徹な黄浩然もです。
というわけで、攻略順に感想~!

アミル=サイード【纏う金糸の陰で希望を燻らせている王子様】
「……私の国ではイルカは最も強く泳ぐのも速い魚で、魂を冥界へ運ぶ使者と教えられてきたんだ」
「そしてオレンジやレモンの柑橘類は君の明るさ、グレナデンシロップは君のマジシャンとしての一面」

石油の国の第十二王子。第一印象通り優雅で優しい王子様。特に優しさが全メンバーの中でも突出していて、十萌は勿論塞ぎこんでいる楓真にも非常に親切。彼のルートでは十萌に接したアミルが彼女を運命の人だと見初めて、お互いに運命を信じて心を通わせることになります。どこまでも優雅な交流から徐々に忍び寄る権力争いの影……優しいアミルに反して険悪な争いに巻き込まれた二人が掴み取った未来は今作の中でも一番玉の輿大成功!だと思います。中々展開が危ないのでマジックエンドではまさかの死で切ない。十萌が本当にお姫様になるルート。
加賀美楓真【気紛れヲタク御曹司】
「つまり勝負の直前まで最底辺の運だって構わないんですよ。一瞬で人生を逆転できるのがギャンブルってものですから」
「俺だって、変に期待なんかしなかったのに!」

世界的に有名な服飾ブランドのお家の次男。後を継ぐために生きてきたのに長男が後を継ぐ事になって憤って家から飛び出し逃避中。実は世界構築系ゲームの実況者でもあり、十萌は彼の大ファン。そんな二人が出会っちゃうの、オタク的には胸熱最高潮が約束されててときめき不可避。つまり今作内でも最高に萌えました。ファンである十萌の方が浮かれるのかな~と思えば逆なのが童貞オタクく~ん(楓真)!!ロマンスエンドで家族について十萌に叱られ気味なのがマジで良い。わかる。マジックエンドでは童貞の拗らせと十萌のお姉さんっぷりが見れて眼福です。
ジェレミア=ジェンキンス【全世界の女性を浮気させるアイドル歌手】
「何だか十萌と話をしてると、子供の頃に戻ったような気分になって楽しいね」
「誰かの為に全てを捧げて、自分自身の気持ちにはずっと蓋をしていた」

全世界で大人気のアイドル歌手。軽薄な態度かと思えばアイドル活動に対してはとても真面目で、思うような曲作りが出来ないスランプを脱する為にこの船で出会った真面目な十萌と恋人契約を結ぶ事に。始終凄く建設的な仕事の話ばかりで健全…かと思えば彼を溺れさせる驚きの倒錯十萌が!マジックエンドに存在!!万歳!!ロマンスエンドでは真摯に相談して考えた末に決めた結末が大変清々しい。でも倒錯十萌でもう頭がいっぱいになってしまう。田中さんのハイテンションも絶対それだよね?ね??十萌を開花させられる男、ジェレミア……
黄浩然【孤高の秀才中華系マフィア】
「君のような真っ当な道を歩んで来た人間には分からないのかも知れないが、世の中には根から悪い人間もいる。それだけのことだ」
「君の為に身を引く愛が俺にはもうない。叶わない想いのままに姿を消すことも出来ない」

人を寄せ付けない雰囲気を持ちカジノキラーの一面もある黄一族の次期トップ。表の顔は青年実業家で、黄の領域を侵す愚か者に制裁を下すために乗船。どう見ても優秀で強大、とても近づける様な人物ではないが何故か十萌は惹かれていく。始終冷淡なのに実はずっと十萌に恋をしていて評価が甘いのがグッとくる。冷徹なのは十萌を拒絶する為だけでなく、自分が恋に狂わないように…というのがいじらしい。マジックエンドのあの宣言、将来酷い状態になった時を想像し甲斐がある。ロマンスエンド後はもう少し穏やかになってくのかな……
田中さん【嫌われ系優男】
「ブランデーをストレート以外で飲む奴は邪道!」
「大丈夫ですよ。悩んでる時間も回り道してる時間も、貴方が頑張ってる時間ですから」

脚本作りが趣味の一般男性。これが結構真実なのが逆に面白い。明らかに怪しいキツネとの関係を十萌が中々直接言わないのが大人の空気読み感があったし、杜撰過ぎる嘘も可愛いヒロイン十萌へのからかい♪な趣がありあらゆる面でお茶目で愉快な快楽主義の一般人。彼のおとぼけ小物感がこの作品を明るく軽快にしてくれています。思いきり胡散臭くて奔放なのに意外にも良識と品性はあり、他の面子にも劣らない良さ。マジックエンドを見るとロマンスエンドもなるほどね!ってなる。至極朗らかに楽しそうでこちらもつられて全部が面白くなる。

良い意味で期待を裏切る、ってこういうことか~!と思いました。月影&スイクラ経験者ほど呆気に取られるかと。全てコンプしても明かされない謎も多数あったりしてまさに狐につままれた感じ。なんか……ほんと……かなり拍子抜けしつつ最後の面白男が好き勝手に楽しくして終わるので、楽しかった~!という爽快感で終わりつつ胡散臭すぎる~!!と信じきれてない。でも、各キャラクターの人物像や十萌の言動はライターさんの持ち味がバッチリ出ていて恋愛に至るまでの過程やエピソードがどれもとても印象的で心に残るものになりました。ロマンスとマジックの対比も考えるほどに楽しい。いや、でも……田中さんって何!?!?今それで頭がいっぱい。
※以下田中さんがわからないぼやき
主人公の名前が畑中十萌で、畑中によく似た田中という苗字(明らか偽名)だし実は兄弟とか…!?それとも片想いでこんなことを!?とゲームを始める前は色々重い背景を想像してましたが、あの……本当に脚本作りが趣味の一般男性だったって騙し方……何!?あと、田中さんルートで花火が上がったりトランプが燃えたりするのですが、それって「火」ですよね。あの……「田中」が「火」を使うことで「畑中」になる……みたいなギャグ、だったりします???いや、だからって何…??突然実の兄弟説が実際になるよりは、脚本のヒロインにした十萌に憧れて僕も彼女に近い存在になっちゃいましょう!っていうギャグだと言われた方が納得の人物。同じ苗字にしてくださいという遠回し過ぎるプロポーズかもしれない、勿論本気ではない冗談の。主人公の名前は変更出来るため、言うなればこの仕掛けは我々プレイヤーではなく確実に「畑中十萌」に向けたもの、なんですよ。ちょっと…………好きになっちゃうじゃん!!何!?!これ全部憶測なんで勝手に狂ってます。下の名前適当に言わないのも謎。何なんだこの人………十萌を招待した理由も話すけど全然信用できない。Liar Princess Cruiseって船の名前から気合入ってるよね。片想いというか、本当に物語のヒロインとして十萌を凄く気に入っているんだろうな……でも頼むから前日譚とか直接見せてほしいな、どう気に入ったのかって経緯を。今のとこ順序は何にしろ勝手に十萌を気に入って勝手に全事情探ったストーカーって感じで想定しちゃってるから。キツネとしか呼ばれないフォックス2号もさ~~~初恋の思い出を蒸し返しながらも新たに毒舌キツネで思い出を塗り替えてやろうという気概を感じる。黄と田中の対立が作中でも基本の構造であるように、田中さんは自身と十萌との恋愛も黄への対抗として話を面白くする為に考えていたと思う。といっても本気で落とす!とかでなく、まあそんな展開も面白いですね!ぐらいの緩いノリ。ほんと良くも悪くも田中さんは全く飾らない。周囲がどんなに疑わしく警戒しても彼はずっと自然体。そこが逆に騙される。知恵の輪や絡み酒のくだりや勝負に負けた時のかっこ悪い醜態も晒しまくる辺り、気負いが全く無いんだろうなあ。全部嘘みたいな人間が無駄にのらりくらり躱しまくる白々しさ。株式投資で儲けたとはいえハイスペじゃないとこがとても良い。脚本は趣味に留まっているし全財産費やしたこの船と心中!という限界ギリギリさ。それでも躊躇したり悲観せず、常に面白を求めて邁進する究極のポジティブ。常人ではない凡人。もう何か……ここまで面白が極まると見事だよ……

あとタイトルに書いた通り、食べ物や飲み物が大変美味しそうなのでそこも注目ポイント。ジェレミアがメープルクッキーを懐かしいと言って食べたり、黄が白茶を振る舞ってくれたり。一番気に入ったのは梅おにぎりとお味噌汁にがっつく十萌。良い。酢豚のパイナップルに殺意を覚えたりブランデーの飲み方にこだわりがあったりめんどくさい田中さんもしっかり食通っぽいね。ところで良い恋愛が全然出来ない田中さんがマジックエンドで露骨に指舐めるのヤバくないですか??悪びれなく幾らでも攻められるとこ夢が広がるな~って思いました。すぐ田中さんの話に繋がってしまうのでここらでお開きにします!!田中さんは共通バッドエンドの流れ且つその後にバッドエンドが無い件、絶対田中さんを選ぶこと自体がバッドエンドじゃん!!!とまだまだ盛り上がっております。おもしれ~~~!!

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